大判例

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広島高等裁判所松江支部 昭和25年(う)167号 判決

検察官検事赤松新次郎主張の控訴趣意に対する当裁判所の判断は、次のとおりである。

原判決は「被告人は法定の除外事由なく営利の目的で昭和二十五年三月十四日頃能義郡大塚村において密造焼ちゆう約八升を所定の統制額を超えて販売する目的を以て所持して居たものである」との公訴事実について、当時実施中の昭和二十五年一月一日物価庁告示第七号によれば、これによる価格の統制は焼ちゆうについて一升につき四百四円七十七銭と定めて第一の統制額表を改めたけれども、第二販売条件その他の九に関しては改正していないから、右九は依然その効力を有するものと解すべきである。されば、本件焼ちゆうのアルコール分が原判決の認定するように二〇度七分であるとすれば、本件焼ちゆうは前記昭和二十四年七月物価庁告示第五百四十二号の第二の九に該当するから、右の規定を適用しその統制額を計算すれば一升につき二百三十九円余となる、そして原判決の認定するが如く被告人が本件焼ちゆうの購入代金について一升当り金二百五十円乃至二百七十円との約束をし、これを一升につき金二百八十円乃至金三百円宛で販売する意図であつたとすれば被告人は昭和二十五年一月物価庁告示第七号により改正された昭和二十四年七月同庁告示第五百四十二号所定の統制額を超えて販売する目的を以て本件焼ちゆうを所持していたことになるから、被告人の本件所為は物価統制令第十三条ノ二違反を免れないといわなくてはならない。もつとも、本件起訴状には罰条として物価統制令第十三条ノ二、第三十五条の外に昭和二十五年一月物価庁告示第七号のみを掲げ、昭和二十四年七月同庁告示第五百四十二号は罰条として記載されていないので、本件公訴事実に対する罰条の記載としては稍正確を欠くというそしりを免れないけれども、罰条として掲げられた昭和二十五年一月物価庁告示第七号は昭和二十四年七月同庁告示第五百四十二号の一部改正告示であることはその内容自体に徴し明らかであるから、昭和二十五年一月物価庁告示第七号を罰条として掲げたのは同告示により一部改正された昭和二十四年七月同庁告示第五百四十二号を罰条ではアルール分二五度以上のものに限定してあるが、被告人の所持していた本件密造焼ちゆうのアルコール分は二〇度七分であるから、本件焼ちゆうは右告示による価格の統制から除外される。従つて、物価統制令第十三条ノ二(昭和二十五年一月一日物価庁告示第七号)に違反する犯罪として起訴された本件被告事件はその犯罪の証明がないことに帰すると説示して無罪の言渡をしたことは原判文上明らかである。しかし、焼ちゆうの価格統制については、昭和二十四年七月二十九日物価庁告示第五百四十二号はその第一統制額表において、アルコール分二五度以上の成分規格を有する焼ちゆうの販売価格の統制額を定め、その第二販売条件その他の九において、(1)昭和二十三年九月物価庁告示第八百五号に定められた表示を行わない焼ちゆうの販売価格の統制額はこの告示に定められた販売価格の統制額の二割下げとする。(2)右の規定に該当しない場合においてもこの告示に定められた成分規格に達しない焼ちゆうの販売価格の統制額はこの告示に定められた販売価格の統制額からその成分規格のアルコール分一度までを下ることにその統制額の十分の一を控除した金額又は比重一度までを下るごとにその統制額の十分の一を控除した金額のどちらか少い金額によるものとする。(3)(1)及び(2)の規定のいづれにも該当する焼ちゆうの販売価格の統制額は(1)の規定と(2)の規定の計算により算出した金額のどちらか少い金額によるものとすると定め、その後昭和二十五年一月一日物価庁告示第七号は前記昭和二十四年七月同庁告示第五百四十二号の一部を改正し、自由販売焼ちゆうの小売業者販売価格の統制額としてアルコール分二五度以上のものをとして示す趣旨であると解すべきは当然である。それ故原判決が単に昭和二十五年一月物価庁告示第七号のみを適用し昭和二十四年七月同庁告示第五百四十二号の第二の九を適用しないで、たやすく本件について無罪の言渡をしたのは所論の如く法令の適用に誤があつてその誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであるといわなければならないから、論旨は理由があり、原判決はこの点において破棄を免れない。

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